◆各回のゼミは、この講義内容にそって進められますが、参加者が持ち寄った特別のテーマや個人的な関心事にもできるだけ時間を割いて皆さんと一緒に意見を交換してゆきたいと思っています。
そのために予定していた内容を全部お話しできないこともありますが、予めご了承下さい。
なおその際には、資料をお持ち帰り頂いて自宅学習ということになりますが、内容に関してのご質問は、いつでもメールでお答えいたしますので、ぜひご利用頂きたいと思います。
なお、入門ゼミナール課程(第1回から第11回ゼミ)は何回目からでも参加することができます。この機会に、お知り合いのスクールカウンセラーや産業カウンセラー、あるいは教育者や学生など、なるべく多くの方々にご周知頂ければ幸いです。

1 回ゼミ

1.ヴィクトール・E・フランクルの生涯

1905年にウィーンで生まれたフランクルは、高校時代からフロイトやアドラーの精神分析に興味を持ち、後に精神科医として患者の心理治療に携わることになりました。
そしてその職業的体験から得た直感で、「人間の心の病気は、過去の不幸な出来事(トラウマ)により生じるのではなく、人生をどう捉えるかという精神的な生き方の姿勢によって生じる」という確信を持つに至りました。この理論の正当性は、フランクル自身の4年にわたる強制収容所での悲惨な生活を通じて実際に証明されることになったのです。
ロゴセラピー創始者の苦悩の体験は深いヒューマニズムを基盤とする治療法の完成に結びつきました。
これによって、治療分野の領域を死・苦悩・罪悪感などの問題にまで広げることができるようになったのです。

2.ロゴセラピーの基本

伝統的な心理学は、人間を心と体との二次元の座標軸の中で相互の係わり合い方によって見ようとしています。
フランクルのロゴセラピーは、この上にさらに第三の次元「精神次元」を付け加えて(次元的存在論)、人間を立体的に観察しようと試みました。これにより、二次元的見方では見えなかった人間本来のあり方、生きることの意味や価値の問題がはっきりと浮き彫りにされて来たのです(実存分析)。
私たちが日常、何らかの生きがいを抱いて生きているかどうかは、心と体の健康の問題にも関わってきます。
次元的な見方を取るロゴセラピーは、どのような考え方を出発点としているのでしょうか?

2 回ゼミ

危機とその克服

1.危機
人間は生まれてから死ぬまでの間に様々な体験をします。
その中でもいわゆる「危機」と呼ばれるような出来事(例えば不和、離別、病気、死、老化、事故、失業など)は、私たちの情緒的安定を失わせるぐらい大きなストレスになることがあります。
ロゴセラピーの観点から見て、危機とは一体どういう状況なのでしょうか?

2.危機からの解放
ロゴセラピーはフランクル自身の人生体験を通して深められたために、「危機のための心理学」とも呼ばれます。それはたとえどんな苦しい状況にあっても生きることには意味があるという価値観を根底とした心理学です。
「それでも生きることにイエスと言う」ためには具体的にどのような態度をとったらよいのでしょうか?

3 回ゼミ

生きることの意味

「生きることには意味がある」というのがロゴセラピーの基本姿勢です。そのためロゴセラピーは、人生に失望した自殺候補者や犯罪人がこの状況から脱出して人生を肯定的に見るために直接的な援助の手を差し伸べることができるのです。
これは、他の心理学にはない特徴だといえるでしょう。
このようなフランクルの考え方の基盤は、どこにあるのでしょうか?

4 回ゼミ

充実した老いと死

ロゴセラピーでは私たちが老衰してゆく過程でも、またたとえ死ぬ直前であっても、その状況ごとに何らかの意味が見出されると考えています。
病気などで苦しみ、あるいは老いてゆくことに絶望している方々は「生涯を全うすることの意味」を理解することによって、魂の癒しを得、平安の中に死を迎えることができます。
このためロゴセラピーは、ターミナルケアやホスピスの基本的な考え方として世界中いたるところで適用されています。これは看護の現場で患者を扱う医師や看護婦、介護やホスピスのボランティアなどをされている方々にとって大切な知識であるばかりでなく、人生で避けることのできない自分自身の「死」と対決するためにも、必要な観点です。

5 回ゼミ

喪について

愛する人を失った人々の悲哀の気持は単なる感情ではありません。
これは自分にとって大きな意味を持つ人がいなくなったという「知」なのです。そしてこの「知」は、かつて自分の人生の中には価値のあるもの、貴重なものが存在していたという認識につながります。
喪の悲しみの中にいる方々の心理を理解することは、その方々との接し方を考える上でも、将来の生き方を助ける上でも、とても大切なことです。

6 回ゼミ

1.人格と愛情

「愛情」「愛し方」などについて、現代におけるほど考え方が多様化した時代はなかったでしょう。
「愛」というのは私たち人間にとって最も本質的な現象のひとつです。フランクルは三次元的人間像の中で愛をどのように見ていたのでしょうか?そして、真実の愛というのは、どのような愛情を意味しているのでしょうか?

2.家族セラピー

夫婦や家族は「愛情」を出発点として築き上げられた共同体ではありますが、それぞれが生まれ育った環境や価値観は大きく異なっています。
そのためお互いに人生に対して全く異なった関心・期待・目標を持つこととなり、共同生活の中ではいろいろの摩擦が起こり、それがお互いを傷つけ合う原因にもなります。
ロゴセラピーでは、精神的な次元の上での非常に特徴のある家族又は夫婦のセラピーを提供していますが、これは具体的にどのようなものなのでしょうか?

7 回ゼミ

三つの悲劇とその克服

フランクルは、どんな人間でも生きている以上避けることのできない「三つの悲劇(Tragisches Trias)」として、死・罪・苦悩を挙げました。これは、すべての人間にとって、実存的な問題なのです。
それではロゴセラピーでは、それぞれの悲劇をどのように克服できると考えているのでしょうか?
これは、自分の体験した過去のトラウマ、あるいは現在体験しつつある不幸な運命に対して、どのように対決したら良いかという「精神の反抗力(Trotzmacht des Geistes)」の問題にもつながってゆきます。

8 回ゼミ

ロゴセラピーの神経症対処法 Ⅰ

フランクルは各種の神経症を、次元的存在論の観点から一般的な心理学とは違った形で分類しました。そしてそれぞれの神経症は、どんな人間にも内在している精神次元の自己治癒能力によって癒すことができるというを発見したのです。その中でも自己間隔化能力による逆説志向、自己超越能力による過剰自己観察の消去などは、その即効性と持続的な効果のゆえに、ロゴセラピー独特の治療として一般に高く評価されています。
ではこのような方法は具体的にどのように適用できるでしょうか?

9 回ゼミ

1.ロゴセラピーの神経症対処法 II

現代社会に蔓延しているノイローゼ形態としてうつ病、自殺、摂食障害などがあります。
精神的な次元を問題にしない一般的な心理学では、この種の神経症に対処しきれなくなっているのが現状です。
フランクルはこれらの症状を持つ人のほとんどが、自分自身のことばかりに神経を集中させ、自分の外にある「意味」に向かう眼差しを失っているということを発見しました。
このような状況では、精神次元の空洞化が現れ、生きることは無意味だと感じるようになります。
これに対処できるのが人間に固有な能力である態度変換です。これはフランクルにより「危機克服法」として考案され、ルーカスによって治療範囲が拡大されました。

2.「時代精神(Zeitgeist)」

現代に普及している集団的な神経症的傾向があります。それはフランクルによると、「投げやり主義」「運命論」「集合主義」「狂信主義」などから来る生活態度です。
私たちがこのような否定的な時代精神から自立して、本当に意味のある課題を見つけてゆくにはどうしたら良いのでしょうか?

10 回ゼミ

意味を中心とした教育

1.ロゴセラピーの教育論
今日ほど教育のあり方が議論された時代はかつてなかったでしょう。
日本だけでなく世界中の国々で、新しい人間教育の可能性が求められています。
人間性の中核である精神的な能力を土台にした教育のあり方について欧米のロゴセラピストたちが考えるていることを知ることは、問題の多い従来の教育制度を見直すためにも大きな意味があると思います。

2.家庭教育として
家庭の中での子供の果たす役割、またこの子供の教育に対する大人の役割、そこで生じる問題の解決などを、ロゴセラピーの観点から考えてみたいと思います。

11 回ゼミ

ロゴセラピーの進め方

フランクルは、ロゴセラピーを適用する心理治療は「ソクラテスの会話法」を手本にすべきだと考えました。その提案の基本には、どんな人間にもその中核となる精神的な人格が備わっているという信頼があります。
どんなクライアントでも、セラピストの適切な誘導によって、何に意味があるか、どのように行動することに価値があるかということを「想起」する可能性を持っているということなのです。

 ゴセラピスト資格試験

当ゼミナールを11回参加された方に対して、ロゴセラピストC級資格試験を実施いたします。試験は、各人による症例発表と、筆記試験、個人面接の3つにより行います。なお、各ゼミナールは土・日曜日の2日間から成り、そのうちの1日参加は「完全なゼミ参加」と認められません(11回参加の回数に数えられません)ので、ご注意ください。

1.症例発表

「生きることに意味が見出せない」「何をしても退屈に感じられる」という、言わば「精神因性」のうつ病にかかっている人たちをカウンセリングで具体的にどのように助けることができるのでしょうか?
ここでは資格試験の一部として、参加者一人一人に、具体的なケースについての具体的な「治療」の提案を持ち寄って頂き、それを発表して頂きたいと思います。(一人につき、約20分から30分ほど)

2.筆記試験
3.個人面接

試験の結果は、後日各人宛てに郵便でお知らせいたします。