このたび日本にロゴセラピスト協会が創設されることになったと、勝田茅生さんからうかがい、心からおめでとうという気持をお伝えしたいと思います。

私の現役時代には、合衆国、カナダ、ブラジル、アルゼンチン、イスラエル、ドイツ、スイス、フィンランド、スウェーデン、イタリア、スロヴェニア、そして私の生まれ故郷オーストリーでロゴセラピー協会の設立があり、さまざまな形で発展してきました。
その中でもフランクルのもともとの思想に結びつき、さらに新しい時代の挑戦と学術的な認識に即してこれを拡張していった協会は、どこでも常に良い成長過程を遂げています。
これに対してフランクルの思想を一部にせよ、これに対立する哲学や心理学の相容れない考え方と混ぜ合わせてしまった協会は、長い目で見て外部に対する影響力を失い、時代精神の流れに飲み込まれてしまったのでした。

私はこのような経験をもとに、一度植え付けられた花木の喩えをお話することにしています。

花木はその根を切り取らない限り、いつまでも無数の葉と花が新しく芽吹くのです。けれどももしその根が損なわれるならば、この花木は枯れてしまいます。その意味で日本のロゴセラピスト協会に対して、次のことに成功がもたらされることを私は心から願っています。

それはロゴセラピーの尊厳ある人間像を破壊しないように守り、これを普及させてほしいということ、そしてさらに、ロゴセラピーの有効な方法を、危機に見舞われ苦しんでいる人たちのために、どこでも援助を必要としているところで使ってほしいということです。

この地球上に生きている私たちは、今日巨大な規模の文明革命の最中にいます。エレクトロニクスのもたらす可能性はどんどん広がり、私たちのファンタジーの中で想像していることすら越えようとしています。それにもかかわらず(あるいはおそらくそれがゆえに)、私たちの存在のはかなさ、もろさは、ますますはっきりした形を取り、私たちの人生にはいったい意味があるのかどうかという大きな究極の問いかけを発してきます。それによって私たちは自分のもっとも内側にある感性にぴったりとした、自分だけの個人的な解答を探し出すように強いられているのです。

その時に、ロゴセラピーの英知の宝は傑出した助けになるはずです。  親愛なる日本の皆さん、この宝を大事に守り育ててください。  私はあなたがたに祝福の辞を述べ、地理的には遠くからでも精神的には近くからご挨拶を送りたいと思います。


2008年6月20日
ぺルヒトルズドルフにて エリザベート・ルーカス



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  『ロゴセラピー―人間への限りない畏敬に基づく心理療法—』