このホームページを開いた方の中には、今までロゴセラピーを全く知らなかった人がいらっしゃるかもしれません。

ロゴセラピーというのは、ごく簡単に言いますと、「意味」(ギリシア語でロゴス)を軸にする心理治療(セラピー)法のことです。

人間には誰でも、「何か意味あることをしたい」「何か世の中に役立つことをしたい」という自然な意志があります。けれども、その意志が長い間満たされないでいると、色々な心の障害が生じてくるのです。

100年ほど前にウィーンに生まれたヴィクト−ル・フランクル(Viktor E. Frankl)は、臨床治療の体験を通じて、「意味」を軸にした生き方が人間の精神保健にとってどんなに大切かということに気づきました。そして従来の、心と体のみを分析する心理治療法だけでは、広範囲にわたる人間の本質的な問題には対処しきれないという事実につきあたりました。

フランクルは、人間の心身を超越する精神的な次元でクライアントと出会い、精神的な力を強化することによって、初めてその人の生き方全体の癒しが可能になることを発見し、この新しい心理治療の方法を「ロゴセラピー」と名づけました。それによって体系的な心理治療の領域が過去分析だけでなく、老齢化問題、教育問題、親子や夫婦などの人間関係の問題、さらに様々な危機状況にまで広げられるようになったのです。

ところで「意味」というのはどのようなものなのでしょうか?
またそれはどこで見つけることができるのでしょうか?

このような具体的な疑問に対する具体的な回答を、心理治療や看護・ホスピス、あるいは教育の場などで、多くの人たちが長い間探し求めて来ました。

日本では今までフランクルの著作に頼るしか方法がありませんでしたが、それでは理論的な裏付けは得られても、実践的な説明は得られません。フランクル自身は自分の弟子たちへの臨床の指導の中だけでロゴセラピーの適用を教示していたからです。

その弟子の中でもエリザベート・ルーカスは、フランクルのオリジナルな考察を変革することなく、ロゴセラピーを現代のセラピーに適応させることに成功し、フランクルを最も正確に理解したと評価されています。

私はこのルーカスのもとで研修教育を受け日本で最初のロゴセラピストになりました。また今もなおルーカスとの個人的な交流を通じて深い思索と生き方を学び続けています。

この日本ロゴゼミナール入門ゼミナールは、ロゴセラピーを日本に普及させるために2001年に開設され、私はこのゼミナールのためにドイツから年3回日本にやってきます。

ロゴセラピーに関心のある方はどうぞご参加ください。


南ドイツ・ロゴセラピー研究所公認 ロゴセラピスト
勝田茅生




勝田茅生先生略歴

1945年 疎開先の静岡県御殿場にて生まれる
1964年 東京教育大学(現・筑波大学)付属高校卒業後、上智大学文学部ドイツ哲学科入学
1970年 上智大学哲学科修士課程卒業後、母校の推薦を受けてバイエルン州文部省奨学金を取得、ミュンヘン大学に留学
1974年 3月 父の病気で帰国、4月 上智大学哲学科博士課程入学
1975年 博士課程単位履修後、再度ドイツに渡る
1976年 アウグスブルグ・コンサヴァトリウムの養成科で児童音楽教育者資格ならびに合唱指揮者資格を取得、レーリングに児童合唱のためのジングシューレを設立
1981年 エッヒングに外国人女性とドイツ市民との交流をはかるための「インターナショナル料理教室」を開設・運営
1982年 カソリック教会で数人の母親と「幼児礼拝の会」を立ち上げる
1984年 エッヒングの市営音楽教室(ムジークシューレ)で当校初めての「母と子の音楽教室」を開設、今日に至るまで幼児のための総体的な芸術教育に従事
1988年 「成人のための音楽教室」も併設しリコーダー・グループ指導
1989年 独りで子育てをする母親のための「ソリスト・クラブ」を設立、様々な苦労をしている母親たちが互いに励まし合う場を提供
1997年 南ドイツ・ロゴセラピー研究所において、エリザベート・ルーカス、オットー・チョックのもとでロゴセラピーの勉強を始める
2000年 3月 ヨーロッパに在住する日本人のための「欧日カウンセリングセンター」を開設
2001年 日本人ロゴセラピスト第一号として、日本でのロゴセラピー普及活動を始める(入門ゼミナール)
2006年 「欧日カウンセリングセンター」を「フランクル・カウンセリングセンター」と改名



主な著書

 『フランクルを学ぶ人のために』(共著、世界思想社)
 『意味による癒し ロゴセラピー入門』(V・E・フランクル著、山田邦男監訳、共訳、春秋社)
 『ロゴセラピー入門シリーズ 全9巻』(システム・パブリカ)
 『ロゴセラピーと物語 フランクルが教える<意味の人間学>』新教出版社